2005年4月3日日曜日

異常性愛記録 ハレンチ

〔橘ますみ〕

1969年、東映京都。石井輝男監督。橘ますみ、吉田輝雄、若杉英二主演。

以前もお知らせしたとおり、石井輝男監督の「異常性愛路線」映画にあって、これまで唯一再映もテレビ放映もされなかった幻の作品
このたび、リクエストが実り、めでたく東映チャンネルで放映されることと相成りました。

で、観ました。

シナリオは既に読んでいましたが、実際に観てみたら、なんとこれ、

石井輝男版・だめんずうぉ~か~

な映画でした。

なにしろ、若杉英二の変態演技があまりに凄いものだから、橘ますみたんがどんなに酷い目に遭っていても、なんだか笑えてしまい・・・・。

ごめんよ、ますみたん。

特に、「ノン子(ますみたんの役名)としかセックスできへん」とか言ってたくせに別の女と関係、性病を貰ってそれをますみたんに移しちゃった若杉英二が、ますみたんからそのことを問い詰められると、叱られた子供のようにうなだれて、

だって、金髪やったから。

と、言い訳する場面では、夜中に1人で大笑いしてしまいました(深夜の放映だったの)。

また、ますみたんに冷たくされてやけくそになった若杉英二が、神戸・福原のゲイ専用ソープランド(そんなんあるんか?)で踊り狂いながら好みの男の子を物色するくだり(青江のママ登場!)では不思議な高揚感が漂っていて、けっこう気に入ってしまいました。
オカマとSMする場面もすごかったけど。

前にも書いた「カツラずり落ちギャグ」は、演じていたのが簑和田良太だったため、爆笑度が3倍増しに。
ただし、南利明や由利徹は実際の作品には出ておらず(カルーセル麻紀も同様)、『石井輝男映画魂』にあるキャストとはかなりの異同がありました。
この2人が出ていたら、さらに爆笑度アップだったかも。

それから、いつもやり過ぎの小池朝雄がここではますみたんを見守るバーの常連さん役で、一歩引いた演技を見せていました。
一方、普段は傍観者の吉田輝雄は、今回はますみたんを救い出す白馬の騎士役。

橘ますみたんは、着物のまま浴槽に浸けられたり、トイレで用を足しているところを覗かれたり、さんざんな役ですが、衣装をとっかえひっかえして登場するので、とっても可愛かったです。

ところでこの映画、公開当初はSM映画の一種として受け止められていたようで、『奇譚クラブ』1969年6月号には、ペンネーム・麻曽比須人(「仏恥義理」系の当て字なれど、読みが・・・・)さんの「『ハレンチ』評」なる文章が掲載されており、そこには、

先日、東映の『異常性愛記録 ハレンチ』を見たが、M的傾向を期待していた私には、全く期待はずれであった・・・・

なんていう評がありました。
もちろん、今観ればこれがSM映画ではないことは明白でして、そう考えてみると、早すぎるだめんず映画だったのですね。

次は映画館で観たいです。

付記:現実の時間の経過の中に回想場面があちこちで挿入されるという構成のため、正確な時系列がややわかりにくいという難点がありました。
そういや、林・エロ将軍・真一郎(『新隠密剣士DVD-BOX』好評発売中!)の情けないブリーフ姿も登場。蔡明亮が喜びそうだわ。

(於:東映チャンネル)

0 件のコメント: