2005年5月16日月曜日

神經刀 (Mad,Mad,Mad Swords)

〔えいが〕



1969年、香港(國泰)。王天林監督。田青、秦芸、朱牧主演。

「祝!王天林監督カンヌ映画祭参加!」ということとは全く関係なく、最近観た映画なのでご紹介。
國泰(キャセイ)のコミック武侠映画です(こちらもどうぞ)。

青城派の弟子・陳子原(田青)は、剣の腕はからっきし駄目ですが、酒と女には目がないというしようもない男。
ところが、青城派の高弟たちは他流派のツワモノの相次ぐ挑戦によって皆傷ついてしまったため、病に倒れた青城派の首領は、子原に自分の娘・麗珠(秦芸)と結婚して跡を継ぐようにと言い残し、この世を去ります。
美人の麗珠と結婚できることになった子原は大喜びしますが、子原のことが気に入らない麗珠は子原の武名が天下に轟くようになったら結婚する、という条件を出します。
仕方なく旅に出た子原は、知略・計略を駆使して並み居る強敵を次々と倒して英雄視されるようになり、ようやく麗珠からも認められます。
しかし、彼の心の中には、わだかまりがめばえ始めていたのでした・・・・。

1960年代後半に巻き起こった新派武侠映画ブーム。
このブームを牽引したのはいうまでもなく邵氏でしたが、この波に乗り遅れたライバルの國泰はすっかりジリ貧状態に陥ります。
が、「このままではいかん!」と奮起した國泰は、まともに勝負したのでは勝ち目がないので、「そんならうちはこれでいくわ!」とばかりに到底ヒーローとは思えない男を主人公に据えて、笑いの要素を大量に加味した本作のような映画を繰り出したのでした(この辺、受け売り)。
ついでに「流行ってるもんはみんな頂くで!」と悪乗り(?)、盲侠(座頭市)に獨臂刀、果ては宮本武蔵までがそのネタにされています。
この天晴れなパロディー精神を、王晶はお父さん(王天林)から受け継いだのだなあと、しみじみ感慨に耽りましたです、はい。
ただ、主人公がラストで自分のずるい勝ち方に疑問を抱いてしまうのは、世の道徳観に迎合しちゃってるようで、残念な気がいたしました。
ちょっと甘いですね。
どこまでもいやらしくて小ずるい、でも憎めない男の話であったほしかったです。

主演の田青は、当初予定されていた陳厚の出演が叶わなかったため起用されたとのことですが、なかなかの好演。
色魔のDNA全開!でしたわ。
主人公の登場シーンに大薩摩の三味線を用いたり、濡れ場でなぜか筝曲の段物を使う、周藍萍(音楽担当)の謎のセンスも、天晴れといえば天晴れでありました。



なんだか弱そうな獨臂刀。



こちら、盲侠(座頭市)。元邵氏の男優・張沖が演じています。



「イケてない細川俊之」みたいですが、「二秦二林」のお一人・秦祥林。



『2046』の王菲パパ・王琛も出ていました。



カンヌでの王監督(向かって右から3人目←ずっと右と左を間違えていました。アホですね。ようやく訂正〔5月23日追記〕)。おめでとう!

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