2005年6月5日日曜日

カミカゼ野郎 真昼の決斗 (海陸空大決鬥)

〔えいが〕

1966年、日本・台湾(にんじんプロ・國光影業)。深作欣二監督。千葉真一、白蘭、高倉健主演。

千葉ちゃん演じる「ミスター・トイレ」こと御手洗健が、行き当たりばったり(?)な活躍を見せる痛快アクション映画(東映配給。「台灣電影資料庫」では、こんな作品データになっていました。なぜ?)。

なんだかわけのわからないうちに隠し財宝を巡る陰謀に巻き込まれた千葉ちゃんが、出たとこ勝負!とばかりにカミカゼよろしく台湾で大暴れしますが、ストーリーもかなり出たとこ勝負な展開です。
隠し財宝に関する謎解きは全然たいしたことなくて、後はひたすら中国語タイトルそのままの海(モーターボート)、陸(自動車)、空(セスナ機)のアクションがてんこもり。

とどめは、カーチェイスの途中に出現する原住民の一団。
彼らを見た悪役・頼天賜の子分たち(漢族)は、「日本びいきの連中だ!」と叫び、逆に日本人と漢族たちを見た原住民は「楽しみを忘れた人間たちだ」とつぶやく、その応酬がとほほな笑いを誘います。

また、台湾人俳優の吹替えを担当した日本人声優が、北京語の台詞まで担当しているので、かなーり大変なことになっていました。
その顔ぶれから類推するに彼らが話していたのは台湾語だったと考えられますが(下記参照)、中途半端に北京語にするぐらいなら、いっそのこと全て日本語にしてしまった方がよかったと思います。

ヒロインを演じた白蘭は台湾語映画の人気女優ですが、メイクが大川橋蔵系(目ばりびっちり、おしろいばっちり)なので、もうちょっとナチュラルメイクにしてもいいような・・・・。
頼天賜を演じていたのは、やはり台湾語映画の男優・陳財興。

ただ、主たるロケ地が台南という点は、かなり珍しいかも知れません。
ちなみに、眠り薬を入れた酒を飲まされて昏睡状態に陥った千葉ちゃんと白蘭が、高倉健に助けられて担ぎ込まれる先はこちらでした。

ところで、劇中、台南の街を逃げ惑ううちに千葉ちゃんが売春宿に迷い込み、そこで日本人娼婦に出会うという件がありましたが、「マカオ→南田洋子(『ならず者』)」「シンガポール→ロミ山田(『シンガポールの夜は更けて』)」のような「アジアの街の日本人娼婦」というキャラクターは、この手の映画に欠かせないものだったのでしょうか。
海外渡航がまださほど自由ではなかった時代(お金もなかったし)、異国で出会う日本人は娼婦ぐらいのもの、という先入観があったのか、それとも戦前のからゆきさんのイメージが戦後もそのまま引き継がれたものなのか、いずれにしてもちょっと解せない感じがいたします。

以下は、どうでもいいネタ。

映画監督 深作欣二』によると、この映画は台湾のお金持ちが出資して製作されたもので、國光影業はそのために作られたインスタント会社だったそうですが、「台湾電影資料庫」にはこんな記事もありました。

1966-06-20 日本國映影業要求我國國光影業仍用白蘭為下一部合作片「雨中的愛情」女主角。

国映ってピンク映画の製作会社だったはずですけど、この記事が事実であるならば、台湾で合作映画を撮ろうとしていた時期もあったということになります。

一方、日本側のにんじんプロに関しては、こんな記事が。

1966-03-29 國聯公司與日本人參倶樂部(原文ママ)簽約合作拍攝古裝彩色片「水滸傳」。

台湾のお金持ちに出資してもらって映画を撮るだけでは物足りなかったのか、李翰祥の國聯とも合作映画を作ろうとしていたようです。
ただし、実現はしなかったみたいですが。

キャストの中にこの人の名前も出てくるのですが、いったいどこに出ているのやら・・・・。

(於:東映チャンネル)

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