2005年11月28日月曜日

癡情奇女子 (Kill For Love)

〔えいが〕

今度は腹血ブー。

1982年、台湾(永昇)。陳耀圻監督。陸小芬、趙樹海、張富美主演。

先だってご紹介した『上海社會檔案』と同じく『台湾黒電影』に登場した作品。
おおまかなストーリーは、下記の通り。

友人と生まれ故郷から台北へ出てきた陳信妹(陸小芬)は、最初の就職先で騙されてホステスにさせられそうになり、客と喧嘩騒ぎを起こしてクビになります。
その後工場で働き始めた信妹は、友人と別れて1人暮らしを始めようとしますが、そんなときに知り合ったのが同じ工場で働く同郷の青年・方俊良(趙樹海)。
俊良は彼女のために自分の住むアパートの空き部屋を提供、2人はルームメイトとして一緒に暮らし始めます。
俊良は昼間は働き、夜は大学に通うという実直な青年でした。
やがて2人は恋に落ちるものの、そんな折、工場の理事長の娘である陶聖睴(張富美)と知り合った俊良は、聖睴と結婚して出世するという野望にとりつかれるようになります。
聖睴と俊良との関係に気づいた信妹は彼の子供を身ごもりますが、密かに堕胎します。
しかし、2度目の妊娠に気づいたとき、ついに耐えられなくなった信妹は聖睴に詰め寄り、信妹のことが邪魔になった俊良は信妹を殺すことを決意、湖畔のホテルに彼女を誘い出すのでした・・・・。

先日ちょっこし書きましたが、実際に中身を観てみて、俊良が信妹を殺そうとして湖畔にボートを漕ぎ出す辺りまでは、やはり『陽のあたる場所』からのいただきでした。
その後が全く違うんだけど。
なにしろ、



こんな風に沈んじゃったのに、




生きてるんですよー!ひょえー!!
しかも、なぜ生きてたのかに関する説明、一切なし。
いきなり男に襲い掛かり、




お定まりの無理心中。

全編を通して、陸小芬のキレっぷりにはすさまじいものがありましたが(なにしろ「奇女子」ですんで)、この間の東京国際映画祭における『恋人』の李康宜や『深海』の蘇慧倫のキレ方を思い起こすと、なにやら

台湾キレ女の原点(?)

を見るような思いもいたしましたです。


これが限界。


気になる(?)エロ描写に関しては、やっぱりどうってことなし。
(えげつない言い方ですが)乳首恐怖症なのかと思いたくなるくらい、「露點」を避けていますね。
途中、男を迎えに夜の街に出た陸小芬が暴走族に絡まれてレイプされそうになるという、本筋とは全く関係のない場面が出てくるのですけど、これも到底サービスカットにはなり得ないレベルのもので、正直言って「いらねーよ」な場面でした。
「いらねーよ」と言えば、陸小芬がかつて乱闘騒ぎを起こした客と湖畔のホテルへ向かう列車の中で鉢合わせという件も、ギャグとしてほとんど機能していなかったため、これも「いらねーよ」に終わっていました。

ところで。

監督の陳耀圻って、どこかで聞いたことのある名前だなあと思っていたら、ジュディさんの映画『ジュディのラッキージャケット(無價之寶)』の監督さんでしたわ。

うひょー。

『上海社會檔案』も、王菊金(『六朝怪談』)だしなあ。

奥が深いわ。


おまけ:今と変わらぬ通勤風景。

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