2006年1月9日月曜日

三人の博徒

〔えいが〕

1967年、東映京都。小沢茂弘監督。鶴田浩二、池部良、待田京介主演。

一応、マカオロケ作品・・・・なのですが、期待して観ていたらそのほとんどがセット撮影で、タイトルバックとラスト、そして折々にマカオの風景&街を闊歩する鶴田浩二の姿が挿入されるのみで、これならわざわざマカオまで撮影に行かなくてもよかったのになあ、というのが正直な感想でした。
おそらく、現地の映画会社(例えば邵氏とか)の協力を得ていないため、大規模なロケーションが行えず、ゲリラ撮影に近いものだったのではないかと思われます。
マカオに連れて行ってもらえたのも、鶴田浩二の他には子役の男の子と遠藤辰雄だけだったし。
遠藤辰雄なんか、鶴田浩二を乗せて車(人力車)を引っ張るためだけにマカオへ渡ったと思われ・・・・。

ストーリー的にも、台湾との提携作品である『大陸流れ者(龍虎雙俠)』では日本人博徒と中国人博徒が一致団結して悪と闘うという相手側に配慮した内容になっていたのに対して、単独製作のこちらは中国人への遠慮など皆無、マカオの悪徳中国人が悪徳日本人ヤクザと結託して日本に阿片を横流ししようとしたばかりか、鶴田浩二の女房をかっさらってマカオへ連れ去り、飽きたらポイ捨てして娼妓として働かせるというやりたい放題の暴挙に出ております。

で、まあ、最終的には現地法人の意(日本人の面汚しを退治してほしい)を汲んだ鶴田浩二が、皆まとめて大掃除するわけですが、昭和初期という日本が中国大陸に食指を伸ばしていた時期にこのストーリーって、なんだか無理ありすぎ。
しかもマカオが舞台といいながら現地の日本人社会の一部という閉じた世界の中でしかお話が展開しないので、なぜマカオなのかという必然性が、正直なところほとんど感じられませんでした。
鶴田浩二が、「この間(『大陸流れ者』)は台湾と香港だったから、次はマカオがいいなあ」とでもつぶやいたのかしらん。 

悪徳中国人の役は小松方正でしたが、彼も日中ハーフの人力車夫に扮した遠藤辰雄も、なぜかどじょう髭をたくわえています。
「日本人=ちょび髭」に対して、「中国人=どじょう髭」なのね。

(於:東映チャンネル)

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