2006年5月22日月曜日

世辞で丸めて

〔ちょっとお耳に〕


ちょっとお休みしてました。
今日からぼちぼち再開します。

先月、三百人劇場で上映された『東京‐香港 蜜月旅行』(1955年)に、来日した厳俊&林黛を佐田啓二が歌舞伎見物に案内する件があります。
「国際劇場でSKDを観た後、木挽町で歌舞伎見物なんて、いかにも松竹らしいわ」と思ったものですが、ここでちらりと映る演目が長唄・清元掛合の「喜撰」で、喜撰法師を演じているのが七代目坂東三津五郎だということはすぐにわかりました。
が、この手のシーンの場合、たいていは舞台と客席は別撮りなので、それじゃあいったいいつ頃の公演の映像かしらんと思い、ちょっくら『歌舞伎座百年史 資料編』(1995年、松竹・歌舞伎座)を紐解いてみたところ、


(1955年)1月2日~30日 寿初春大歌舞伎
第1部
六歌仙容彩 「喜撰」清元連中 長唄囃子連中 
       清元梅吉(三代目・せんきち注)、杵屋栄蔵(三代目・せんきち注)出演
       喜撰法師 三津五郎(七代目・せんきち注)
       お梶 歌右衛門(六代目・せんきち注)

2月2日~22日 二月興行大歌舞伎
第1部
1月と同じ


とありまして、どうやらこのときのものが使われたようです。 
つまり、映画のクランクインは2月ですから、あらかじめこちらを先に撮っておいて、本編に当てはめたわけですね。

それにしても、すごい顔ぶれです。
歌右衛門もさることながら、踊りの名人(七代目三津五郎)の映像がほんの一瞬(チョボクレの「釈迦牟尼仏~お経文」の辺りまで)とはいえ拝めるとは。  

地方は連名が書かれていなかったので詳細がよくわからないのですが、この時代で栄蔵が立三味線だとすると立唄は七代目芳村伊十郎あたりか、あるいは芳村伊千十郎(後の五郎治)か、いずれにせよ、こちらも錚々たる顔ぶれといえましょう。

というわけで、七代目三津五郎&六代目歌右衛門の「喜撰」が観たい方にも必見の映画であります。
上映期間過ぎちゃったけど・・・・(遅かりし由良之助だわね)。

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