2006年7月23日日曜日

筧橋英烈傳 (Heroes Of The Eastern Skies)

〔えいが〕

とってもえらいひとたち

1977年、台湾(中影)。張曾澤監督。梁修身、李菁、金漢、陳莎莉、胡茵夢主演。

お腹壊しました。
もらった牛乳にやられたらしい。

国軍の全面協力を仰いで製作された抗日映画。
日中戦争初期の中華民国空軍の活躍を描いた作品です。
日台断交以降、台湾では抗日映画製作が奨励されたみたいですが、これもそんな1本。
日中戦争勃発後40年という節目の意味もあったのかしらん。
第14回金馬奨において作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、録音賞を受賞しています。
こういう政治的な思惑満載の映画が主要な賞を獲っちゃうあたり、当時の金馬奨のあり様がよく伺えますわね。
ちなみに、特撮部門は三上睦男(特技監督)、川崎龍治(特技撮影)、鈴木昶(特技操演)と、日本鬼子(だって映画の中で連呼してるんだもん)が全面協力しております。

詳しい解説は門間貴志氏の『アジア映画にみる日本〈1〉中国・香港・台湾編』にあるので、それを読んでください(責任放棄)。

実在した空軍烈士たちのお話ですんで、主人公はこの方
演じていた梁修身は、古天樂も真っ青(真っ黒?)のガングロさんでした。

田野がいやーな日本軍司令官をやってるのはある意味予想通りでしたが、黄家達が日本軍将校役でものすごーくじみーに出ていたのはちと意外でした。
ほとんど台詞ないし、見せ場もないし、最後どうなったのかもわからなかったよ。

観ていてたまげたのは8月14日の戦闘における大敗の責任を取るため、いきなり直立不動のまま切腹しちゃう日本軍将校。
切腹のBGMは『さくら』でおました。

誰か介錯してやれ!

とはいえ、国軍兵士も負けていません。
日本の艦船に体当たり攻撃を仕掛けたり、爆撃を受けた飛行機を脱出、日本軍の陣営にパラシュートで降下した後、「生きて虜囚の辱を受けず」とばかりに、

中華民国万歳!

を叫んで自決したり、果ては銃後を守る奥様までもが、戦死した夫の後を追って入水自殺しております。

知らん人が観たら、「特攻」も「戦陣訓」も日本軍が国軍の真似をしたと思っちゃいそうだよ。

本作の中では勇敢なる国軍兵士の姿の他、軍人の妻としてあるべき姿も再三提示されており、主人公・高志航(名前からして空軍の申し子のようだ)は妻(李菁)にいつも、

お前は空軍の妻になれ。

と諭します。
夫に仕え、夫の親に仕え、家に仕え、軍に仕え、国に仕える、という銃後で出来る「忠君愛国」は、愛国心と聞いただけで気分が悪くなる当方にとっては、正直ぞっとするだけでしたわ。

ところで。

先だってちょこっと触れた8月14日の戦闘で好成果を得たことにより、その日はやがて中華民国の空軍節になるわけなんですが、実はおんなじ日に国軍の飛行機は上海市街地を誤爆、民間人の死傷者を出しています。
でも、映画ではそんなこときれいさっぱり無視、というか、未だに中国側(共産党、国民党共に)の見解じゃ、たしかこのこと(誤爆)は日本軍の仕業になっているはず。
自分たちにとって都合の悪いことを隠したがるのは、何処の国も同じでげすね。

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