2009年2月13日金曜日

大蛇王 HONG KONG崩壊の序曲 (大蛇王)

〔えいが〕

ごもっとも。

1987年、台湾(安記)。徐玉龍監督。李修賢、蘇慧倫(珮珮)、梁修身、張沖主演。

どうも。
トド@相変わらずしこりが!です。

さて、こちらで『人蛇大戦・蛇(人蛇大戰)』をご紹介してから既に4年近くの歳月が流れました。
そして今、再び満を持して(?)お届けする台湾製トンデモ大蛇映画ざます。
1980年代ビデオバブルの頃、どういう風の吹き回しか日本版ビデオがリリースされた『大蛇王』だよーん。

この映画、ビデオのパッケージでは「1986年 香港映画」となっており、邦題も『大蛇王 HONG KONG崩壊の序曲』ですが、実際の撮影地は台北及びその近郊であり、台詞も北京語、また、台湾映画のデータベースである「台灣電影資料庫」に収載されている点からみて、台湾映画と考えた方が妥当かと思います。
というわけで、製作年、製作会社は「台灣電影資料庫」に依りました。

なお、本作は後に悪名高き香港IFDによってニコイチ映画"Thunder of Gigantic Serpent"に改編され(監督はおなじみ何誌強!ただし、本作では李超名義)、英語圏ではむしろこの英文タイトルで知られているようです(IFD及びフィルマークの素晴らしい作品群に関しては、こちらこちら、はたまたこちらをご参照下さい)。

詳しいストーリーは、こちらをご参照頂くとして(職務放棄)、映画の舞台は某華人国家。
台湾でも香港でもありません。
だから、国旗も・・・・・

限りなくオーストラリア国旗に似た別の旗。
よくオーストラリアから抗議が来なかったな。

人間の意志を理解する利発な蛇ちゃん・摩斯拉(モスラ)と少女・ティンティン(漢字不詳。婷婷か?)の友情を軸に、この2人(というか、1人と1匹)が国家機密を盗み出そうとする悪の組織と、それを阻止せんとする安全局及び警察との戦いに巻き込まれ、やがて悲劇が起こるのでした・・・・。

で。

なぜ蛾でもない蛇に摩斯拉(モスラ)なんて名付けたのか、その秘密は後半に至って明らかになります。
つまり、本家モスラが小美人を救うべく日本へやって来て大暴れ、挙句の果てに東京タワーで羽化しちゃうのに対して(いまだにチョココロネを見るとモスラを思い出す私)、こちらの摩斯拉(モスラ)も飼い主であるティンティンちゃんを救うために山から街へやって来て無辜の市民を大量殺戮、街一番の摩天楼である星光ビル(ティンティンちゃんはここに閉じ込められています)に巻きつきます。
いやー、それにしても、

人死にすぎや!

しかし、何も知らないティンティンちゃんはここに至ってもなお、

モスラを殺さないで!

と叫ぶのでありますた。

あんた1人を助けるために何千人が犠牲になったと思ってるんだよ!

ラスト、摩斯拉(モスラ)の死を受け入れることができないティンティンちゃんを女性科学者がやさしく諭す、その件を観てなぜか

娃娃と子豚(娃娃)

を思い出してしまったせんきちでありましたが、それにしても高くついた「いのちの授業」だったな、こりゃ。
子供はおとなしくおうちで『葉っぱのフレディ』でも読んでなさい。

以下、本作に関連した小ネタ。

キャストの欄に蘇慧倫とあるのを見て、「もしや、あの蘇慧倫では?」と思った、そこのあなた!
はい、私も最初はそうでした。
しかし、本編を観てびっくり、

顔が違うじゃん!

で、よくよく調べてみたところ、1984年の大ヒットドラマ『星星知我心』(台視)に出ていた同姓同名の別人(子役)ですた。

現在のお姿(向かって右)。
既に芸能界は引退、弁護士として活躍中。
左は『星星知我心』の母親役・吳靜嫻。

不肖せんきちがこの作品を取り上げようと思ったきっかけは、台湾映画界で活躍した日本人カメラマン・中條伸太郎の作品リストの中に年代不詳の映画として本作が挙がっていたためでありました。
「台灣電影筆記」の中條の項には、この辺りの事情について、


1982年,因著他所擅長的特殊攝影技術,以導演兼攝影身分,陸續與日本圓谷製作公司特技攝影小組合作,拍攝了《大蛇王》、《風神榜》、《里見八犬傳》、《千里眼順風耳》、《孫悟空七十二變》等五部神怪特技片。


とありますが、本作の特撮を担当したのは円谷プロではなく、角川版『里見八犬伝』の特撮を手掛けた矢島信男をはじめとする東映特撮チームの面々です。

『新里見八犬傳』とあるのがそれね。

まあ、矢島信男自体は円谷英二と繋がりのあった人物なので、「台灣電影筆記」の記述も当たらずとも遠からずなのかもしれませんが、かんじんの中條の名前が本作のクレジットにはありませんでした。
名前は出さずに特撮部分のカメラのみを担当したのか、それとも製作会社と特撮チームとのコーディネイト及び通訳を行ったのか、今となってはわかりませんが、「台灣電影筆記」で挙げられた他の作品の内、『(新)孫悟空七十二變』は1976年に製作され、中條がメガホンを取ったことが判明しています。

『ネバーエンディングストーリー』で
ないことだけは・・・・たしかです。

どころで、本作を観ていて最後まで気になったのが、106高地(203じゃないよ)の707研究所(731でもないよ)で行われたR19(18じゃないよ)成長刺激元素(これの発明者が李sir)の動物実験で巨大化したガマガエルの行方。
研究所が悪の組織の襲撃を受けたさい忽然と失踪、その後の行方には誰も触れないまま。

台湾を旅行する皆さん、巨大ガマガエルにはくれぐれもお気を付け下さい。

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