2010年6月10日木曜日

やま猫作戦

〔えいが〕

「猫」つながりってことで…。

1962年、東宝。谷口千吉監督。佐藤允、夏木陽介、伊吹徹、他。

どうも。
トド@相変わらず怠惰な毎日を過ごしていますです。

昨日観た映画のメモ(詳しいストーリーはこちら)。

いわゆる「独立愚連隊」シリーズの1本で、『どぶ鼠作戦』に続く作品です。
で、この後、『のら犬作戦』やら『かま鼬作戦』やら『アルマジロ作戦』やら『ハロー・キティ作戦』なんていう作品が制作されたそうです(『のら犬』以外はウソです、念のため)。

戦争アクションといっても、岡本喜八監督のそれとはかなり異なるスタイルなので、お好みが分かれるかもしれませんけれど、せんきち的には岡本監督の方が好きかしらん。

この手の映画の場合、侵略か否かだの戦争責任だのといった問題は抜きにして、目の前で繰り広げられる華麗なドンパチをただひたすら楽しめばいいのでしょうが、それにしても、星由里子演じる中国娘の設定には若干の違和感があります。
まず、なぜ日本語を話せるのかがわからない(『最長的一夜』の宝田明だって、なぜ中国語が話せるのかをちゃんと説明していました)。
それから、兄(抗日ゲリラの黄)を殺した日本兵に対して復讐の念を燃やすものの、兄を殺害したのが実は味方の仕業だったとわかった途端、日本兵に対する憎悪は雲散霧消してしまう点がちょっと解せません。
ようするに、彼女の憎悪の対象はあくまでも兄を殺した日本兵であって、日本軍そのものを憎んでいるわけではない、ということなのでしょうが。
さらに、彼女は荒くれ日本兵に強姦されそうになっていた自分を助けてくれた夏木陽介演じる少尉を愛し始めますが、アクション重視のストーリーの中では彼女の心の描写に十分な時間が割かれていないため、「そんなものかなあ」と思いつつもなんとなく?な気分になりましたです。
ラストの彼女の姿を見て、戦後の彼女の運命を案じてしまったのは私だけでしょうか。

で。

星由里子の兄を演じているのが林沖。
彼にとって3本目の日本映画出演です(日港合作映画含む)。
途中まではかなりの活躍(?)を見せますが、日本軍の捕虜になった後、秘密がばれることを恐れた味方に殺害されてお仕事終了。
台湾訛りの華語も健在でした。

ということで、この機会に林沖の日本映画出演作リストを整理しておきます。

1962年:『大吉ぼんのう鏡』(シナリオ文芸協会・大宝)、『香港の星(香港之星)』(東宝・電懋)、『やま猫作戦』(東宝)。
1963年:『ホノルル・東京・香港(香港・東京・夏威夷)』(東宝・電懋)、『香港クレージー作戦』(東宝)。
1965年:『戦場にながれる歌』(東宝)。

黄仁氏は谷口千吉監督のことを「日本では稀有な反共監督」と評価していますが(『日本電影在台灣』)、もしもこの映画をご覧になっていたなら、その評価も少し変わっていたのではないかと思います。

砂塚秀夫がいい味出してました(とってつけたように最後に補足)。

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